ウイルス性肝炎には現在A,B,Cの主要な肝炎のほか、D,E,Hなどの型が知られています。Aは汚染された水などで感染し、B,Cは輸血などの血を介して感染します。ほとんど95%以上のウイルス性肝炎はA,B,Cによるものです。このうちワクチンで予防可能なものはA,Bです。


 

B型肝炎とは

B型肝炎の経過は様々で、急性のものではひどくなると劇症肝炎となり死亡し、慢性化すると慢性肝炎、肝硬変、肝がんの経過をとります。通常の経過は発熱、全身倦怠と風邪症状が先行し、次第に黄疸が出現し完治するまで2カ月以上かかります。いずれにしてもかかりたくない病気です。

B型肝炎ワクチンの必要性

現時点までは母親がB型肝炎の感染者、キャリヤーの場合子どもが感染するのを防ぐプログラムはほぼ完成し、あらたな母親からの感染は激減しています。

しかし、最近のB型肝炎の子どもの感染は母親以外、子ども同士などのことが多くなってきています。しかもこどもがB型肝炎にかかるほとんど無症状で、1歳未満では1%未満、1歳から5歳で15%しか症状がでない、といわれています。またこの年齢だと抗体のできない、キャリヤー(保因者)になりやすいとされています。無症状の場合見つかるのは大人になってから、健診とか輸血前の血液検査によって初めて判ることが多いようです。

このようなことからWHOは2010年を目標に各国が国民の90%にB型肝炎のワクチンを定期接種するように勧告していて、いわゆるすべてのひとがうつべきuniversal vaccinationとしています。日本ではいまだ注目されていません。先進国ではすでにDPT+B型肝炎のワクチンが常識として使われているというのが実態です。

また抗体の獲得(免疫ができること)はなるべく小さい時にしたほうがいいと、されています。

実際の接種

大人は0.5mlを4週間の間隔で2回、その後20から24週の間隔で3回目を接種します。10歳未満の子どもは同様の間隔ですが、接種量は0.25mlと半分になります。その後は抗体の少ない場合は追加接種をおこないます。接種料金は1回大人8000円、子ども6000円です。
当院で使用するワクチンはチメロサールを含まないものを使用しています。

2016年10月から定期接種となり、以下のような注意が添付されあました。
定期接種対象者と標準的接種年齢
生後1歳に至るまでの間にある者に対し、標準として生後2月に至った時から生後9月に至るまでの間に、27日以上の間隔をおいて2回、更に1回目の接種から139日以上の間隔をいおいて1回皮下に接種する。