三種混合ワクチン、別名DPTともいいます。ジフテリアトキソイド(D)、百日咳不活化ワクチン(P)、破傷風トキソイド(T)の混合ワクチンです。






百日咳

毎年1歳未満の乳幼児を中心に西東京市でも発生がみられます。症状は熱は無く、軽い咳からはじまり、日がたつにつれて次第に咳はつづくようになり、顔を赤くして咳き込むようになり、その時嘔吐もともなうほどひどくなります。咳のあと急に息を吸い込むので、ヒューという、笛を吹くような音が出ます。
 とくに乳幼児では、咳で呼吸ができず、チアノーゼやけいれんがおきることがあります。また6ヶ月未満の場合咳の症状がない場合もあり、見逃され重症化しやすいとされています。肺炎や脳症はよく知られている合併症です。
 このような意味でDPTは生後3ヶ月の早期から接種のできるワクチンとなっています。集団生活の予定のない赤ちゃんは生後6ヶ月頃から、0歳児保育園の予定のかたは3ヶ月からの接種を考えてください。

破傷風

破傷風菌は土の中に生きている菌で、傷口から皮膚のなかに入ることがあります。非常に死亡率の高い病気でかかってしまうとSARSより怖い病気です。破傷風菌のつくりだす毒素は、全身の筋肉にけいれんを、のどの筋肉のけいれんで窒息をおこし、また心臓の筋肉にも障害をおこす非常に毒力の強いものです。破傷風の予防注射は非常に有効でまた安全性の高いことでも有名です。スポーツなどで外傷の頻度の高い人は、12歳すぎて勧奨接種が終わっても10年ごと、あるいは泥などにまみれたきたない傷を負ったときには直ちに追加の予防接種をうけてください。

ジフテリア

ジフテリア菌の毒素はのどの奥に灰色の厚い膜(偽膜)をつくり、呼吸困難をおこします。この病気は上の2つに比べると非常にまれですが、まだ東欧、ロシアでは流行がみられています。このめずらしいが致死的な病気を予防するには予防接種を続ける必要があります。


DPTの副作用

以前のワクチンに比較し、現在使用されているワクチンはほとんど副作用がなくなっています。問題になった百日咳ワクチンが全菌体ワクチンという菌体がまるごとはいっているものから、精製された毒素と細菌蛋白へと変更になったからです。脳炎などの重大な副作用は皆無といっていいほどなくなりました。
 よくある副作用は注射部位が赤くはれ、時には腕全体がはれ上がるようなこともあります。これは中に含まれている、アルミニウム塩によるもので、DPTの3回目とか追加接種の回数を重ねた時によくみられます。予防するためにも注射部位をきちんと母子手帳に書いておいて、同じ側の腕に続けないことが大事です。もし赤くなったら軟膏処置ですぐになおるので心配はいりません。

チメロサールの問題

メーカーによりいまだチメロサール(水銀化合物)を含むものがあります。チメロサールと自閉症の関係は否定的ですがアレルギーをはじめ、未知の副作用の可能性からなるべく含まないものを選択すべきでしょう。

平成19年10月3日