お役立ち情報~予防接種~

BCGの接種時期が変わります?

BCG接種の行政処置が頻繁に改正されています。小中学校でのBCGの中止、乳幼児でのツ半なしでの接種、生後6か月未満での接種そして今回の生後1才までの接種延期、標準接種年齢が生後5か月から8か月に変更という経過です。
根拠として結核発生が多くなったというわけではなく1才未満にもっと必要なワクチンがあるため、やむをえず時期をおくらせる、というのが本当のところです。BCGに対する評価は専門家のなかでも分かれていますが、推進派の先生でも6ヶ月以降にずらすのは乳幼児の結核予防の立場からは全く意味がないと述べていて、今後中止に向かう可能性もあります。実際、BCG接種の根拠がどんどんうすれていて、推進する立場の人はいるのだろうかとさえ考える施策です。私も個人的には中止すべきだろう、と考えています。

BCGは必要か?
BCGの定期接種が今までの生後6ヶ月までから1歳未満までにひろげられました。理由としては生後6ヶ月未満で接種すべきワクチンの数が増えたためと、早期に接種してBCG骨髄炎などの副作用があまりにも多く報告されたため、副作用の観点から遅く接種したほうが安全だからというものです。
もともとBCGの成人の結核には有効性はないという意見もあり、唯一有効なのは乳幼児の初感染結核、粟粒結核、結核性髄膜炎であるとされています。遅く接種すると最も有効である時期を逃してしまうし、早く接種すると副作用の心配があるという矛盾につきあたっています。
以下はWikipediaからの引用です
BCGワクチンの有効性については開発当初から多くの試験が行われてきたが、調査ごとに結果のばらつきが大きく、その予防効果を疑問視する声も聞かれる。少なくとも、乳幼児結核と、結核性髄膜炎など血行性に広まる結核病変については阻止する効果があることは認められているが、成人に経気道感染した肺結核に対する予防効果について意見が分かれている。代表的な大規模野外調査の結果としては、イギリスでの調査報告での20年間で77%の予防効果が見られるというもの(1977)、インドのチングルプットでの15年間の追跡調査報告で成人結核には全く予防効果が見られなかったというもの(1980)が挙げられる。このほか比較的小規模な調査結果まで合わせると、カナダ、イギリス、ハイチなどでは有効性を支持する結果が、インド、アメリカでは有効性が低い結果がそれぞれ得られている。日本では初期に行われた小規模な調査結果からその有用性が支持されている。

ここで素朴な疑問を提示してみます。
成人でBCGを接種していてもどうして結核になる人がいるのか?
アメリカではBCGを接種していないが何故日本より発症がすくないのか?
日本ではBCG接種の定期接種が6ヵ月未満に制限されたが結核の発症がふえているのか?
小中学校でのBCG接種が中止になったが結核の発症はふえているのか?
BCGの副作用は他の予防接種に比較して飛びぬけて多いが、効果に比較してのメリットはあるのか?
BCG接種によるツ判陽転はデメリットにならないのか?日本のこどもがアメリカの学校、幼稚園に入る時にツ半が陽転の場合、結核にかかっている可能性ありということで精密検査を要求されることは常識である。
戦後沖縄ではBCGをアメリカ本土なみに中止し、結核患者の発見と、治療を在宅でおこなうことにより、本土より結核の発症はすくなくなった、という事実がある。
BCGが確実に行われた、すなわちツ半が陽転化するのをなぜ確認しないのか?
このように判らないことが多すぎます。

上記の視点を根拠にしてBCG接種をやめてしまうのには早期すぎるという見解もあります。結核研究所の森先生によると、BCG接種がなければ乳幼児の結核罹患率は米国の2倍、結核性髄膜炎、粟粒結核が年間10件程度発生するだろう、BCGの有効性は80%以上という根拠がある、などとのべています。しかしこの根拠は乳幼児期早期に副作用を心配しながら接種することを前提にしています。
一方結核研究所のHPでBCG接種政策として以下のような意見が掲載されていましたが不思議なことにこれが今では見ることはできなくなっています。なにか意図的なものを感じます。以下にその内容を記します。
結核感染が少なくなれば、BCG接種の利益は少なくなる。従って、かつてはBCG接種を熱心に勧めていた国でも、今では中止した国も少なくない。スウェーデン・チェコ・フィンランド・ドイツ・イギリスなどである。これに、初めからBCG接種を導入しなかった米国やオランダを加えると、BCG接種を行っていない先進国のほうが多い。
わが国もそろそろ中止を考えるべき時が近づいている。問題は、何時、どのような条件が揃った地域から、どのようにして中止に踏み切るか、ハイリスクとして接種を続けるグループは何か、などである。既に中止した先進国から多くの報告が出ているので、これらを参考に、早急検討することが望まれる。
BCG接種を中止すれば、逆に強化しなければならない施策も少なくない。
1 妊婦の結核発病への注意
2 妊娠7ヶ月児への注意
3 乳幼児結核感染、発病などへの健康教育
4 乳幼児のツ半検査(リスクに応じて時期を決める)
5 患者家族の乳幼児・小児の接触者健診の励行
6 BCG接種を中止すればツ反応を感染診断に生かせるため、ツ反応検査を充分に利用することなどである。

常石敬一「結核と日本人―医療政策を検証する」のなかでこう述べています。BCGの予防効果に頼りがちな日本の結核制圧政策は、患者を見つけ出し治療することが基本となっている米国の政策など、世界の他の国と比べてもかけ離れた部分がありました。日本でも考え直す時期にきています。

日本の結核行政は、結核が過去の病気というイメージから専門医が少なくなってきていること、結核研究所中心の専門家集団の意見を聞かざろうえず、今さら効果の正確な調査は予算上無理だし、更に本来の結核患者を早期に見つけ、周囲に広げないという方向転換も無理ということで、従来のまま、あえて波風はたてずに1歳まで予防接種の期間を延ばす、ということにおちつくのでしょうか。少なくとも任意接種にして保育環境などを考慮しながら選択制とし、乳児健診の時に強制的に施行する現行の方法はやめてもらいたいものです。

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麻しん、風しんワクチンの接種変更について?

平成18年4月1日より麻疹と風疹の予防接種の制度がかわっています。
☆旧い制度 生後12ヶ月から生後90ヶ月未満までに各1回接種
☆新しい制度  麻疹風疹混合ワクチン(MR)で2回接種
          第1期 生後12ヶ月から24ヶ月未満までに接種
          第2期 5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間
その他暫定制度として、中学1年(第3期)高校3年(第4期)で接種
となっています。1回しか麻しんワクチンを受けていない場合はご相談ください。

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7歳以上のかたで1回しか麻疹ワクチンを接種していないひとは至急2回目の麻疹あるいは麻疹+風疹ワクチンを接種しましょう?

麻疹にかかったことがある可能性のあるかた→麻疹IgG抗体を調べましょう。麻疹にかかったかどうか不明あるいは1回しか予防接種をしてないかた→麻疹あるいは麻疹+風疹ワクチンを至急受けましょう。
麻疹に対する抵抗力は血を検査し、麻疹IgG抗体で調べます。この値が6.3以下では感染するといわれています。1回だけのワクチン接種の場合毎年すこしづつこの値が低下し感染するようになってしまいます。今回の流行もこのケースが約半分だといわれています。ところが途中でもう1度ワクチンをうつと身体のほうは鋭敏に反応し、とても高い抵抗力をもつようになります。これはブースター効果といわれこのような状況になると終生免疫力が持続するようになります。このような2回接種方式は先進国では常識であったのですが、日本では平成18年度からやっととりいれられるようになったのです。ところが困ったことに現在7歳以上の人にはこの接種が公費接種では行なわれず、取り残されているのです。そのための暫定処置として、中学1年(第3期)、高校3年(第4期)での接種が公費によりおこなわれるようになりました。
  女性への注意 あらかじめ約1ヶ月間避妊した後接種すること、及びワクチン接種後約2ヶ月間に妊娠しないように注意すること という接種する時の注意があります。

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3種混合(DPT)予防接種の接種間隔についての注意?

DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチン第1期の接種間隔は国の規準では3から8週のあいだに行うこととなっています。最近厚生労働省はこの規準を守らないで副作用がおきた場合は予防接種被害救済法での補償はできない、と通知してきました。いまだに都、県、市町村間ではこの問題についての認識が不十分のために見解の相違が生じています。
しかし西東京市では行政(健康推進課)のすばやい対応により8週をこえた場合にも安心して接種できるようになっています。とはいっても国の行っている予防接種被害救済は手厚い補償であり、できるだけ接種間隔を守って接種させてあげてください。
実際BCG、ポリオが日のきめられた集団接種のために、これを優先させると8週以上の間隔になってしまうことがよくあるので注意してください。予防接種の時には母子手帳をみてもらいながら、次の予防接種の予定をきちんとたててもらいましょう。

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日本脳炎予防接種の最新情報?

日本脳炎の幼児期の予防接種は中止されているわけではありません。正確には予防接種と急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の関連性が疑われたため、行政として積極的に接種を勧めることはしない、というものです。しかしこれをおおげさにとらえ都区内、市町村の一部の行政では、よほどの理由がなければ接種しない、としてしまいました。
ところがここにきて、熊本で日本脳炎の患者が発生し死亡例が報告されるにいたりました。新しいワクチンは早くとも再来年(平成20年)ごろだろうといわれていて、現在使用できるワクチンの有効期限は平成19年10月までです。したがって新たな展開がないかぎり日本脳炎ワクチンは平成19年10月以後は在庫なしの状況になります。
日本脳炎のワクチン基礎免疫接種が途中のひとは是非いまのうちの接種をおすすめします。このような情報を前号で報告したのですが、平成18年12月にいたり東京小児科医会より以下の勧告がだされるにいたりました。
現在、日本脳炎ワクチンは約100万人に1人の割合でADEM(急性散在性脳脊髄炎)の発生が危惧されることから、よりリスクの低いワクチンが開発されるまでの間、現在のマウス脳由来の日本脳炎ワクチンの積極的な勧奨が一時差し控えられています。しかし、新しい製造法によるワクチンの認可の明確なめどはたっておりません。このような状況が長引けば、免疫のないこどもたちや免疫が低下した高齢者は日本脳炎発症の危険性が高くなることから、基礎免疫をつけ、追加免疫により日本脳炎を予防することが必要です。3才以上になられましたら日本脳炎ワクチンを接種することを是非お薦めします。

平成21年6月より新しい日本脳炎ワクチンの使用ができるようになりました。ジェービックVといいます。従来のワクチンはマウス脳由来でADEM(急性散在性脳脊髄炎)との関連が否定できないため、行政が接種の勧奨を止めていました。あたらしいものは培養細胞由来のものでこの危険性を排除したものです。当然チメロサールは含まれていません。
 生産本数がまだ少なく希望者にすべて接種はできません。また行政も十分な供給体制が整うまで、接種のすすめはおこないません。このような状況から7歳6ヵ月までに基礎接種を行わなければならない、6歳から7歳のかたが当面の優先接種対象者となります。早めの予約をお願いします。

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ヒブワクチンについて?

ヒブワクチンとはHib菌(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチンの略です。このワクチンに対する期待は大きく、新聞、TVなどですでに数多くとりあげられているのでご存じのかたも多いと思います。
 日本では毎年約600人の子どもがこの菌、Hib菌による細菌性髄膜炎になり、30名前後が死亡して、なおっても後遺症を数多くのこす重症な病気です。後遺症を残さず治癒させるためには早期診断、早期治療が唯一の方法なのですが、診断が難しいことがあり、結果的に訴訟になる例も少なくありません。
 病初期の状態も、高熱、意識がおかしい、首が固い、嘔吐、痙攣、うしろにのけぞる、などの髄膜炎特有の症状もしめさず、血液検査でも重症感染症を思わせる所見もなく、そのまま外来でかぜでしょう、と診断され、数日たち入院して髄液検査で診断されることが多い病気です。小児科医は細菌性髄膜炎を絶対みのがさない、という姿勢でつねに診療しているのですがそれでも結果的にみのがしてしまうことのある病気なのです。
 このような理由でヒブワクチンは先進国では以前より導入されていました。日本でもやっと2007年に認可されたのですが、現実にはまだ発売されておらず、2008年4月の発売予定が延期されつづけていて、見通しがつかないというのが現実です。そこでさいとう小児科内科クリニックでは直接輸入して接種することにいたしました。製剤はアクトヒブというもので、認可されたものと同じものです。コストは高くなり、1回15000円となりますが、是非接種を、とくに1歳未満のお子さんへの接種をおすすめします。

ヒブワクチンについての新聞記事

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中耳炎を予防接種で防ぎましょう?

日本ではなぜこんなにアメリカその他の国に比較して滲出性中耳炎が多いのでしょうか。ある調査では保育園児の8割が滲出性中耳炎にかかっているとの報告もある程です。保育園児は小さいうちから病原菌にさらされ気管支炎、鼻炎などの繰り返しから細菌性中耳炎それが慢性化し滲出性中耳炎にいたっているとされています。アメリカで日本ほど多くない原因としては、保育環境、抗生剤を安易に使用しないことなどのほか、主要なものとして1歳未満より、予防接種を徹底することがあります。すなわちヒブワクチン(Hib菌(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチン)と子ども用肺炎球菌ワクチン(7価肺炎球菌結合型ワクチンPCV)の早期接種です。本来の目的は髄膜炎の予防なのですが、これが結果的に中耳炎の予防に画期的な効果をもたらせているのです。中耳炎をおこす菌はヒブ菌、肺炎球菌が80%以上でそれも大部分がペニシリンの効きにくい菌ということはよくしられている事実です。この80%を予防接種により防ぐことができるのです。また中耳炎の発症頻度が少なくなれば今までの様に抗生物質に頼った治療からも脱することができ、その結果菌もペニシリン耐性菌になる頻度が減ることになります。
 さいとう小児科内科クリニックではヒブワクチンは以前よりおこなっていたのですが、今回7価肺炎球菌結合型ワクチンPC−7も輸入して接種しはじめました。中耳炎を繰り返したり滲出性中耳炎でお困りの方は是非ご相談のうえ、予防接種をしてあげてください。

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おたふくワクチンの2回接種について?

おたふくかぜが流行っています。おたふくの流行の特徴としてダラダラと流行が長くつづくことがあげられます。園、学校等で流行すると流行が6ヵ月以上続きます。その理由としては、潜伏期間が長いこと、治ったと判断され登校、登園してもまだおたふくウイルスを排出していること、ワクチン接種率が低いこと、またワクチンを接種していても抗体が低くなっていてかるくかかることが少なくないこと、などが考えられます。
当院でのH21年1月より耳下腺の腫れた人のデータです。ワクチンを全くうっていない人63%(重症の割合25%)、ワクチンを1回うっている人26%(重症の割合0%)おたふくではない人10%でした。これよりワクチン接種で発症を半分以下にまた重症化は0%へと減らせることがわかります。さらには2回目の接種で発症を限りなく0にすることができます。はしかワクチンも接種が2回必要なのと同じ理由で1回だけのワクチン接種で抗体がひくくなり発症し、伝染源になることがわかっています。多くの国ではおたふくワクチンの2回接種をすすめています。なるべく早めにおたふくワクチンを全く接種していない人は1回目を、1回うっている人は5歳を目安に2回目を接種してください。

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B型肝炎ワクチンの重要性について?

ウイルス性肝炎には現在A,B,Cの主要な肝炎のほか、D,E,Hなどの型が知られています。Aは汚染された水などで感染し、B,Cは輸血などの血を介して感染します。ほとんど95%以上のウイルス性肝炎はA,B,Cによるものです。このうちワクチンで予防可能なものはA,Bです。

B型肝炎とは
B型肝炎の経過は様々で、急性のものではひどくなると劇症肝炎となり死亡し、慢性化すると慢性肝炎、肝硬変、肝がんの経過をとります。通常の経過は発熱、全身倦怠と風邪症状が先行し、次第に黄疸が出現し完治するまで2カ月以上かかります。いずれにしてもかかりたくない病気です。

B型肝炎ワクチンの必要性
現時点までは母親がB型肝炎の感染者、キャリヤーの場合子どもが感染するのを防ぐプログラムはほぼ完成し、あらたな母親からの感染は激減しています。
しかし、最近のB型肝炎の子どもの感染は母親以外、子ども同士などのことが多くなってきています。しかもこどもがB型肝炎にかかるほとんど無症状で、1歳未満では1%未満、1歳から5歳で15%しか症状がでない、といわれています。またこの年齢だと抗体のできない、キャリヤー(保因者)になりやすいとされています。無症状の場合見つかるのは大人になってから、健診とか輸血前の血液検査によって初めて判ることが多いようです。
このようなことからWHOは2010年を目標に各国が国民の90%にB型肝炎のワクチンを定期接種するように勧告していて、いわゆるすべてのひとがうつべきuniversal vaccinationとしています。日本ではいまだ注目されていません。先進国ではすでにDPT+B型肝炎のワクチンが常識として使われているというのが実態です。

実際の接種
大人は0.5mlを4週間の間隔で2回、その後20から24週の間隔で3回目を接種します。10歳未満の子どもは同様の間隔ですが、接種量は0.25mlと半分になります。その後は抗体の少ない場合は追加接種をおこないます。接種料金は1回大人8000円、子ども6000円です。
当院で使用するワクチンはチメロサールを含まないものを使用しています。

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ワクチンとチメロサールの問題 最新の情報

1999年アメリカ小児科学会、WHOはワクチンからのチメロサール(エチル水銀)の除去を指示し、現時点では欧米のワクチンにはチメロサールは全く含まれなくなっていきていました。
2012年国連環境計画(UNEP)が環境中から水銀除去に向けた動きを推進していることは各種報道でご存じのことと思います。ここのなかでワクチンに含まれるチメロサールの問題が再びとりあげられ、以下のような結論を提示しています。
チメロサールを保存剤として使用されるメリットとしては、保存条件の適応のひろさ、バイアルで数人分をまとめて提供して取分けて使用する場合の細菌等の汚染の防止などの経済的メリットや開発途上国での使用が可能などのメリットがあげられる。ほかにも生産過程、梱包などの廃棄物を含めた地球環境に優しい点などがあげられています。
問題点とされた自閉症との関連は完全に否定され、現時点までではアレルギーの報告もなく、予測できない副作用を考えて使用を控えるよりも、使用するメリットのほうが多いとし、アメリカ小児科学会、WHOはワクチンへのチメロサールの含有を容認することとなりました。
現在含まれて製品もかなり含有濃度が薄くなっています。しかし日本の状況をみてみると、ワクチンに対する不信感、清潔意識の高い国民性、保存におけるワクチンの劣化の問題などを考慮し、保存液はなるべく安全性の高いものを使用し、保冷庫で保存したワクチンの接種が望ましい、と考えています。発展途上国ではない地域、欧米ではすでにチメロサールフリーのワクチンの接種が当然のようにおこなわれています。従って当院では従来どおりチメロサールフリーのワクチンにこだわって接種していきたいと思います。

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水痘ワクチンの2回接種の必要性について

水痘ワクチンは2回接種が必要です。1回だけの接種では十分抗体(抵抗力)がつかないからです。日本小児科学会では、1才すぎたら直ぐに1回を接種し、3ヶ月以上あけ1才台に2回目を接種することを推奨しています。
当院でのおススメのスケジュール
1才のお誕生すぎたら直ちに MR(麻疹、風疹)と同時に水痘ワクチン接種
4週間後 HIB+こども用肺炎球菌ワクチン(PCV13)
1週間以上の間隔で おたふくかぜワクチン
4週間以上の間隔をあけて2回目の水痘ワクチン

以下に水痘ワクチン2回目の接種が必要な理由の文献を記載します。
大橋ら:日本医師会雑誌2013より引用
水痘ワクチン接種後の水痘罹患はbreakthrough varicella(BV)と呼ばれる。一般的に発疹数は少なく,発熱や合併症もない軽症水痘である。わが国では被接種者の20~30%が3.4年以内に発症することが多い。米国ではワクチン接種率上昇に伴い水痘患者数が減少し、それによりワクチン接種後に水痘患者に接触する機会が減少したため、自然感染によるブースター効果が得られずBVが増加した。そこで2007年からは.小児では1回目を12~15ヶ月、2回目を4~6歳の2回接種することを推奨し,水痘発症を95%減少させた。
水痘ワクチン追加接種のわが国おける大規模な成績は公表されていない。われわれの最近の研究では,MRワクチンと水痘ワクチンを同時接種し,1年後に水痘ワクチン追加接種を実施した被験者において、追加接種前抗体陽転率は
IAHA(immune adherence hemagglutination:免疫粘着赤血球凝集反応〉法では約40%,gp-ELISA法では100%と差がみられた。しかし,追加接種後の抗体陽転率はIAHA法,gp-ELISA法とも100%となり,平均抗体価もIAHA法(log2)で6.9±1.4、gp-ELISA法(log10)で4.0±0.4と著明に上昇しており,初回接種後抗体陰性者も追加接種で高い抗体価を示していた。したがっで,わが国でも2回接種が推奨されるが,その追加接種の時期は、毎年流行が繰り返されているわが国の疫学状況では,初回接種後の半年後から1年以内が妥当と考えている。

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不活化ポリオワクチンの追加免疫(4回目接種)の確認のお願い

不活化ポリオワクチン導入から1年半が経過し、多くの乳幼児が追加免疫(4回目接種)の時期を迎えています。しかし、ある調査では、単独不活化ポリオワクチン接種対象児の約19%が初回免疫(3回)の接種が未完了であり、初回免疫を完了していてもそのうち 約48%が追加免疫(4回目)の接種が未完了であるとの結果が得られています。 また、単独不活化ポリオワクチン対象者には、2011~2012年に経口生ポリオワクチンの接種を見合わせた幼児も含まれるため、三種混合ワクチンの接種はすでに完了しており、不活化ポリオワクチンのみ接種が残っているというケースも想定されます。通常とは異なる接種スケジュールであること、そして初回免疫から追加免疫まで時期が空くことなどが影響していると考えられます。

一方、昨年はポリオ流行国からの野生型ポリオウイルスの伝播により、ソマリアなど非流行国でもポリオ症例が報告されました。今年も世界での野生型ポリオウイルスの症例数が4月2日現在で51症例と、去年を超える頻度(2013年は16症例)で報告されています。海外との往来が頻繁になっている昨今、野生型ポリオウイルスが日本に流入するリスクもゼロではありません。 そこで、日本の子供達をポリオから守るために、ポリオワクチンを適正回数接種して頂きたいと考えております。また、厚生労働省は原則として最初に使用した不活化ポリオワクチン(単独又は4種混合)を最後まで使用することを推奨しております。従いまして、単独不活化ポリオワクチンと3種混合ワクチンで接種を開始した場合は4回目完了まで単独不活化ポリオワクチンと3種混合ワクチンを、4種混合ワクチンで接種を開始した場合は4回目完了まで4種混合をご使用頂けます様お願い申し上げます。保護者の方は至急母子手帳の予防接種欄を確認し不活化ポリオワクチンが4回終了しているか確認してください。

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具体的な予防接種のすすめかた

特徴
HIB 肺炎球菌ワクチンの接種を最低2回優先的におこないます。ロタウイルスワクチンは副作用(腸重積)の発現を考慮してなるべく早期から行い、コストパーフォーマンスを考慮し早くから行っている場合はロタテックで3回を、接種開始が遅れた場合はロタリックスの2回をお勧めしています。また現在まだ任意接種ですが重要なワクチンであるB型肝炎ワクチンの水銀の含まれないものをお勧めしています。またインフルエンザワクチンも水銀を含まないチメロサールフリーのワクチンを接種します。

パターン1
生後6週 ロタテック(5価ロタウイルスワクチン)経口
4週後 ロタテック2回目経口 HIB1回目 肺炎球菌ワクチン1回目
4週後 HIB2回目 肺炎球菌ワクチン2回目
1週後 4種混合ワクチン1回目 B型肝炎ワクチン1回目 ロタテック3回目経口
4週後 HIB3回目 肺炎球菌ワクチン3回目
1週後 4種混合ワクチン2回目 B型肝炎ワクチン2回目
4週後 4種混合ワクチン3回目(練馬区の方はBCG同時接種も可能)
1週以上の間隔で BCG
B型肝炎ワクチン追加接種は最終接種より6ヶ月後
1才 MR(麻疹、風疹)ワクチン、水痘ワクチン同時接種
4週後 HIB追加接種 肺炎球菌ワクチン追加接種
1週後以上 おたふくワクチン
1才半ごろ 水痘ワクチン2回目接種

パターン2
生後2ヶ月 ロタテック(5価ロタウイルスワクチン)経口 
HIB1回目 肺炎球菌ワクチン1回目
4週後 HIB2回目 肺炎球菌ワクチン2回目
1週後 4種混合ワクチン1回目 B型肝炎ワクチン1回目 ロタテック2回目経口
4週後 HIB3回目 肺炎球菌ワクチン3回目
1週後 4種混合ワクチン2回目 B型肝炎ワクチン2回目 ロタテック3回目経口
4週後 4種混合ワクチン3回目(練馬区の方はBCG同時接種も可能)
1週以上の間隔で BCG
あるいは
4週後 BCG
4週後 4種混合ワクチン3回目
B型肝炎ワクチン追加接種は最終接種より6ヶ月後
1才 MR(麻疹、風疹)ワクチン、水痘ワクチン同時接種
4週後 HIB追加接種 肺炎球菌ワクチン追加接種
1週後以上 おたふくワクチン
1才半ごろ 水痘ワクチン2回目接種

パターン3 開始が生後3、4ヶ月以降とおくれた場合
生後3、4ヶ月 ロタリックス(1価ロタウイルスワクチン)経口 
HIB1回目 肺炎球菌ワクチン1回目
4週後 HIB2回目 肺炎球菌ワクチン2回目
1週後 4種混合ワクチン1回目 B型肝炎ワクチン1回目 ロタリックス2回目経口
4週後 HIB3回目 肺炎球菌ワクチン3回目
1週後 4種混合ワクチン2回目 B型肝炎ワクチン2回目 
4週後 4種混合ワクチン3回目(練馬区の方はBCG同時接種も可能)
1週以上の間隔で BCG
あるいは
4週後 BCG
4週後 4種混合ワクチン3回目
B型肝炎ワクチン追加接種は最終接種より6ヶ月後
1才 MR(麻疹、風疹)ワクチン、水痘ワクチン同時接種
4週後 HIB追加接種 肺炎球菌ワクチン追加接種
1週後以上 おたふくワクチン
1才半ごろ 水痘ワクチン2回目接種

パターン4 開始が生後5ヶ月以降とおくれた場合
生後5ヶ月以後開始 HIB1回目 肺炎球菌ワクチン1回目
1週後 4種混合ワクチン1回目 B型肝炎ワクチン1回目
3週後 HIB2回目 肺炎球菌ワクチン2回目
1週後 4種混合ワクチン2回目 B型肝炎ワクチン2回目 
3週後 HIB3回目 肺炎球菌ワクチン3回目
1週後 4種混合ワクチン3回目(練馬区の方はBCG同時接種も可能)
1週以上の間隔で BCG
あるいは
1週後 BCG
4週後 4種混合ワクチン3回目
B型肝炎ワクチン追加接種は最終接種より6ヶ月後
1才 MR(麻疹、風疹)ワクチン、水痘ワクチン同時接種
4週後 HIB追加接種 肺炎球菌ワクチン追加接種
1週後以上 おたふくワクチン
1才半ごろ 水痘ワクチン2回目接種

パターン5 予防接種による発熱が心配なかた
肺炎球菌ワクチンは発熱率が高いワクチンで20%という報告もあります。従って肺炎球菌ワクチン単独でも、他のワクチンと一緒にうっても同じように発熱します。気になる方は肺炎球菌ワクチンだけ単独のスケジュールをお勧めします。パターン1、2で準拠しますが、具体的には個々の接種スケジュールを接種開始時に計画します。

その他 将来外国で生活する可能性のある方
地域によって異なります。例えばアメリカの場合はBCG接種は避けたほうがいいでしょう。また日本と外国で使用するワクチンが異なるものもあるので注意が必要だったり、定期接種よりも早期にうつ必要のあるワクチンもあります。日本もやっとグローバルスタンダードにちかづいてきていますがまだ遅れているものもあります。具体的な相談は診療の時にお願いします。電話お断りしています。また相談のみの場合は自費診療になります。

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4種混合ワクチンテトラビックの自主回収の問題について

以下のような情報がメーカーから寄せられています。
先般、「テトラビック皮下注シリンジ」の一部ロットの製品(製造番号: 4K23及び4K24以下、当該ロット製品)につきまして、有効成分の1つである不活化ポリオウイルス3型のD 抗原量が有効期間内に承認規格を下回ったことから、当該ロット製品の自主回収を実施いたしました。 今回の自主回収にあたり、医療関係者の皆様をはじめ当該ロット製品を接種された皆様、そのご家族の方など、多くの方々にご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。 この度、6月発出の「『テトラビック皮下注シリンジ』一部ロットの製品(製造番号:4K23及び4K24)自主回収のお詫びとご協力のお願い)」(以下、自主回収に関するお知らせ文書)内にお示ししておりました、当該ロット製品を接種された方への抗体検査およびポリオの追加免疫に関する具体的な対応について、ご案内申し上げます。
【当該ロット製品の安全性、有効性について】
当該ロット製品については、自主回収に関するお知らせ文書の通り、安全性に影響があったとする報告はありません。また、当該ロット製品と同等の有効成分量を持つワクチンを使用した場合でも、十分なポリオウイルス(3型)に対する抗体を獲得することが臨床試験において確認されています。しかしながら、当該ロット製品を接種された方の中で、抗体価測定を希望される方には、ポリオ抗体検査をご検討くださいますよう、お願い申し上げます。

当該製品のロット番号

製造番号 製造年月日 有効期限
4K23 4K23A 2017/3/9 2019/6/8
4K23B 2017/3/10 2019/6/9
4K23C 2017/3/11 2019/6/10
4K24 4K24A 2017/5/10 2019/8/9
4K24B 2017/5/11 2019/8/10
4K24C 2017/5/12 2019/8/11

上記報告に対する2019/10/9時点での限られた情報のなかでの本院での見解をここに示します。
量の少ないセービン株ワクチンでも有効な抗体は出来ているというデータがある
但し量が少ないとその分抗体価は低くなる
ポリオ3型ワクチン50DU含まなければならないとされている力価が有効期間中に低下したというがどの程度低下したのかが不明 
低下の原因が保存の不適切なものによるものなのか、他の原因なのか不明
出荷1年以内に接種したものは低下がなかったと判断できるか  

対応
3回以上当該ワクチンを接種しているものは抗体チェックをすすめる
1回だけなら抗体チェックは不要
2回なら不安がある場合には抗体チェック 出荷1年以内か接種時期を考慮
基本的には主治医で対応 主治医が対応不可の場合は当院でも可
1週間以上前に採血日をきめる
保険診療ではできない すべての費用はメーカーが負担する  通院にかかった交通費などの費用もメーカーに請求できる

その他、疑問点は院長にお尋ねください。電話での問い合わせはご遠慮ください。

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