クリニックニュース

さいとう小児科内科クリニックニュース 7月号

*お知らせ*
*えくぼからのお知らせ*
*今、はやっている病気*
*RSウイルスの流行がはじまりました*
*アトピー性皮膚炎の治療が大きく進歩してきています*
*新型コロナウイルスの抗体検査 *
*新型コロナワクチン接種について*

お知らせ

本院はコロナ対応の診療・検査医療機関として指定を受けています

 電話をかけて相談の上来院ください。電話だけの場合、電話初診料、再診料がかかりますので、保険証を手元においてお電話お願いします。

祝日診療

 7月22日(木、海の日)9:00~12:00 臨時外来
 7月23日(金、体育の日)9:00~12:00 臨時外来
 コロナ対応の診療検査医療機関としての診療も行っています。この時に新型コロナワクチン接種も行えます。
 診療検査医療機関としての診療をご希望の方は受診前に必ずお電話をお願いします。隔離室は院内6室、外のブース1で診療していますが、隔離室の空き具合をみながら診療時間を指定させていただきます。また症状をお聞きしてどの様な検査になるかも、あらかじめ説明させていただきます。電話初診料、再診料がかかります。
 かかりつけの方は優先して診療をおこなっています。
 祝日診療では迅速検査、点滴は可能ですが、時間の制限があるのでご注意ください具合の悪い方はなるべく早く受診してください。予防接種もおこなっています。

乳幼児歯科相談

 毎週月、水曜日午後2:00より4:00まで乳幼児歯科相談をおこなっています。歯科医師による歯磨き指導、虫歯予防、歯にかかわる相談をおこないます。費用は無料です。以外にも気楽に相談する機会がないようで延べ300人以上のかたが受診されています。予約不要でおこなっていましたが、最近希望者が多くなっていますのでできれば予約をお願いします。楽しく歯磨きをおこなえるように指導をおこないます。詳しいことは当院受付にお尋ねください 。

外来入館時にトリアージを行っています

 新型コロナウイルス感染症対策のためにクリニック入館時にトリアージを行っています。発熱時にはコロナ感染の有無を早期に診断できるようになっています。

えくぼからのお知らせ

  えくぼでのインシデントについて

 インシデントとは事故と事故を未然に防いだニアミスの両方のことをさします。インシデントの分類として、患者さんに与えた影響よりのレベル分類が提案されています。
レベル0 以前に気が付き、エラーは患者さんに到達しなかった。(ニアミス)
レベル1 エラーは患者さんに到達したが、実害はなかった。あらたな処置や治療を必要としなかった(ただし何らかの影響を与えた可能性は否定できない)。
レベル2 エラーは患者さんに到達し、自院で可能な処置や治療を必要とした。
レベル3 エラーは患者さんに到達し他院への紹介や入院を必要とした。

 えくぼでは以前よりインシデントについて登録しながら分析し事故予防を行っていますが、その取り組みについて報告します。
レベル0 11件  レベル1 7件 レベル2 6件 レベル3 1件
その内容はレベル0、1に関するものは大部分が投薬に関するもので、レベル2,3に関するものは外傷でした。
 外傷を原因別に分類しその予防について検討しました。
転倒 お昼寝の時以外は常にその危険があります。とにかく目を離さないことですが、頭部の打撲には注意して保育環境の整備にも常に注意をはらう必要があります。
 打撲 転倒に比較すると大事には至らない事故ですが、目には注意が必要です。
 けんか おもちゃの取り合い、イライラなどが原因ですが、こどもの性格をあらかじめ把握しておくことが予防につながります。
 誤飲 こどもの特性としてなんでも口にいれる、ということがあり誤飲はするものという立場にたっての対応が必要です。口にはいるサイズのものや、危険な流動物は周りにはおかないことへの配慮が必要です。
 はさむケガ ドアーやすきまでの手をはさむ事故が散見されます。ドアーの形態や、機能を見直しながらの対応が必要です。

今、はやっている病気

  咳と熱が続く場合

  RSウイルスの流行がはじまりました。熱と咳が続き新型コロナウイルスと症状が同じなので、心配の場合はまずお電話ください。隔離室でコロナウイルス抗原検査、RSウイルス検査を同時に行います。最近では1回だけの検査で同時検査が可能となっています。

  熱中心なら

 COVID-19の他、アデノウイルス、溶連菌感染症が考えられます。検査なしで抗生剤を服用すると本当の原因が判らなくなります。乳幼児の突発性発疹にも注意が必要です。

  吐き気あるいは下痢なら

 嘔吐、下痢などの消化器症状を呈するかぜがはやっています。下痢、嘔吐による脱水がひどく、点滴が必要になる場合があります。受診はなるべく早くお願いします。経口補水液をうまく使って点滴をさけるようにしてください。水分補給の注意の記事も参考にしてください。COVID-19は消化器症状の例が50%もあるので注意が必要です。

RSウイルスの流行がはじまりました

 季節外れのRSウイルスがはやっています。関西地域から関東への流行の伝播です。これから保育園、幼稚園を中心に大流行が予想されます。
 その理由として
本来の流行月の11月、12月がコロナウイルスの流行により保育園が閉鎖されていたため、流行が見られなかったこと
RSウイルスの症状が高熱、咳であり新型コロナの症状とおなじため、コロナ検査ができない施設では検査しづらいこと
検査されずに発熱がおさまっただけで咳の残る状態で保育園に登園して感染源になること
コロナ抗原キット検査にRSウイルス検査キットの薬品が流用され、キットの供給が不十分なこと
保険制度上、乳幼児にたいするRSウイルスの検査が請求できず、クリニックのサービス検査になることが少なくなく、検査をためらう傾向があること
 などにより、今まで以上のRSウイルスの大流行が想定されます。現実に当院ちかくの保育園では1名の発生後1週間でほぼ全員の発症が確認されています。流行がひどくなると重症者がふえるとともに1歳未満での死亡例の報告がみられるようになり、そこで初めて報道されパニック状態になることが想定されます。
 受診したクリニックで、特別な治療があるわけではなく、検査をしても意味がないといわれて、検査なしで対症療法のみで治療された場合には不利な状況をかかえることになります。RSウイルスは乳幼児にとっては重病で、肺の損傷をのこし、その後かぜなどの感染症の度に喘息発作様症状をおこし、小児喘息の8割はRSウイルスが原因と言われています。きちんと診断することにより、周囲への伝染を考慮するとともに、肺の損傷をできるだけ防ぐ、ステロイド吸入の頻回治療などを行い、その後の喘息用発作をできるだけ防ぎ、小児喘息として長期に薬を服用するようなことにならないようにしてあげましょう。


アトピー性皮膚炎の治療が大きく進歩してきています

  アトピー性皮膚炎の治療が大きく進歩してきています
 アトピー性皮膚炎の治療に対する考え方が変わってきています。保湿剤やスキンケアーやアトピービジネスにみられる民間療法では、改善が本当にみられるか疑問でした。明らかに改善するのはステロイドの外用剤という現状でした。しかし、ここにきて治療法の進歩にはめざましいものがあります。それは新しい非ステロイドの軟こうや注射薬の登場です。

 予防に対する考え方の進歩

6ヵ月までの湿疹の完璧な治療。アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係の逆転。食物アレルギーがアトピー性皮膚炎を起こすという考えで、食物制限でアトピー性皮膚炎をなおすという治療が数十年続いていたのですが、最近では皮膚炎による痒みで皮膚に傷ができ、そこから食物抗原が侵入し食物アレルギーが成立するので、まず皮膚を痒みのない正常な状態にすることに重点がおかれるようになっています。特に保湿剤でのコントロールが良くない場合には積極的にステロイド軟こうをしっかり使用することが大切になってきています。ランセットという有名な文献の2020年版にアトピーのリスクのある小児に保湿剤を使用すると最近汚染のリスクを1.5倍に増やし、アトピー性皮膚炎を進行させるとの報告もあります。乳幼児期の湿疹に対し、中等度のステロイドから開始し良くなったら、弱いステロイドに、さらに良くなったら保湿剤のみへの治療に変え、悪くなったら再びステロイドへもどし、かゆみのない、健康な肌を保つことで6ヵ月以後の管理が劇的に楽になることを経験します。

 中等度のアトピーに対する効果薬の出現

今後数年以内に次々と非ステロイドの軟膏が発売されます。いままでは唯一の薬剤としてプロトピックだけが認められていましたが、アトピーのステロイド治療が不十分な場合塗布することにより、ヒリヒリ感や痒みが出現し、今一つ使用しずらい側面がありました。
しかしJAK阻害薬という痒みを生じるサイトカインを抑制する軟こうが発売され、発赤などの急性期の皮膚炎を治めたのちに使用すると著効することが判ってきました。ステロイドとこの薬剤を適切に使用することにより、中等度のアトピー性皮膚炎は完全にコントロールできるようになってきました。またJAK阻害薬以外にも非常に有効な非ステロイド軟膏が数年以内に発売されることになっています。院長も新軟こうの治験に携わっていて、軽度のアトピー性皮膚炎なら新軟膏のみで、中、高度ならステロイドと新軟膏の併用で十分コントロールできるようになっています。
基本的にはステロイド軟こうの強、中、弱の軟膏を部位、症状の程度に応じて使用し、プロアクティブ療法の考え方で完全にコントロールするのが原則ですが、その後の維持に関してかなり選択肢がふえてきています。

 重症のアトピー性皮膚炎にたいする注射薬の出現

Th2細胞が産生するサイトカインは正常表皮分化過程を障害し,表皮最終分化タンパク質の発現を阻害することから,アトピー性皮府炎では皮膚バリア欠損を引き起こしたり,増大させたりすると考えられており、この働きを抑制する注射薬としてデュピクセントという注射薬が利用できるようになりました。強力なステロイドを長期に使用していたり、それでもコントロールが不十分な場合にアトピー性皮膚炎の重症度をEASIスコアーで判定し、使用します。

 EASIスコアーとは

頭頚部、体幹、上肢、下肢別にアトピーの重症度、面積を数値化し、その合計で軟こう等の効果を判定するものです。これは世界で認められている、アトピー性皮膚炎の重症度を数値化したもので、当院でも積極的に使用して、適切な軟こう選択の指標としています。

 軟こうの添加剤について

次の成分が入った保湿剤には注意が必要とされています。(国立成育医療研究センター
大矢 アレルギーセンター長:新生児・乳幼児のスキンケアーより引用)
・2歳未満の乳児で刺激が大きいもの プロピレングリコール
・接触皮膚炎を起こしやすいもの ラノリン、ウールワックスアルコール、メチルイソチアゾリノン
ちなみにヒルドイド(ヘパリン類似物質)のうちクリーム、ローションにはラノリンが含まれますが、軟こうには含まれないことをご周知ください。
  以上、アトピー性皮膚炎の治療には画一的な方法はないのですが、年齢、重症度に応じて必要十分な治療ができる知識、薬剤の進歩がみられ、それに基づいた治療をおすすめします。

新型コロナウイルスの抗体検査

 新型コロナウイルス感染症にかかって抗体ができているか、ワクチンを接種してきちんと抗体ができているか、心配なかたへ
  まず基本的なことですが、新型コロナに罹った時にできる抗体と、ワクチンを接種してできる抗体はべつのものです。濃厚接触者として隔離されて全くPCR検査を受けていないかたは、コロナにかかったかどうかは全くわかりません。そのような場合にはワクチンを接種してもかまいませんが、できればキチンと感染したかを把握しておきたいものです。そのようなかたには自費になりますが、コロナウイルス抗体検査をおすすめします。4000円です。
またワクチンをうって全く痛みもなく、本当に抗体ができているか心配のかた、外国にいかれる予定があり、やはり抗体の有無をしっかり把握しておきたいかたにはワクチンに対する抗体、スパイク抗体の検査が可能です。自費で4000円です。
当院の職員には検査を行って、感染予防を徹底しています。

新型コロナワクチン接種について

  当院では6月2日から新型コロナワクチン接種を開始します。あくまでも行政の通達どおりの優先順序でおこないますが、お急ぎのかたは、優先者の予約のキャンセルがあった場合に臨時に接種できますので、予約キャンセル待ちでの接種が可能となっています。次第に接種可能な対象者は広げられていく予定です。接種費用は無償です。当初は希望者で混雑すると思われますが、その点にご配慮ください。2回の接種が必要なので、1回目の接種時に2回目の接種日(3週間以後)を決めていただきます。情報が入り次第、変更がありますのでご注意ください。
 最新の情報、新型コロナワクチン接種の対象者が12歳以上になりそうです。7月22,23日の祝日には多数のワクチン接種が可能です。