クリニックニュース

さいとう小児科内科クリニックニュース 4月号

*お知らせ*
*クル病 ビタミンD不足について*
*今、はやっている病気*
*新型コロナウイルス(COVID19)感染か心配の方は以下の対応でお願いします*
*保湿剤使用の危険性について*
*アデノウイルス感染症とは *
*ヒトメタニューモウイルス感染症について*

お知らせ

木曜日の診察時間の変更について

 4月より以下の様に変更になります。
 午前診療 9:00~12:00 東京医科歯科大学小児科よりの派遣医師
 午後診療 13:30~16:30 東京医科歯科大学小児科よりの派遣医師
 夕方診療 17:00~19:00 斉藤院長 予防接種はこの時に行います

祝日診療、5月ゴールデンウィークのお知らせ

 3月20日(金 春分の日)臨時外来9:00~12:00
 4月29日(水 昭和の日)臨時外来9:00~12:00
 5月3,4,5日 連休 外来エアコン工事のため
 5月6日(水 振替休日)臨時外来9:00~12:00
 祝日診療では迅速検査、点滴は可能ですが、時間の制限があるのでご注意ください具合の悪い方はなるべく早く受診してください。予防接種もおこなっています。

乳幼児歯科相談

 毎週月、水曜日午後2:00より4:00まで乳幼児歯科相談をおこなっています。歯科医師による歯磨き指導、虫歯予防、歯にかかわる相談をおこないます。費用は無料です。以外にも気楽に相談する機会がないようで延べ300人以上のかたが受診されています。予約不要でおこなっていましたが、最近希望者が多くなっていますのでできれば予約をお願いします。楽しく歯磨きをおこなえるように指導をおこないます。詳しいことは当院受付にお尋ねください 。

発達テストを行っています

 生後0歳から6歳までの子どものDENVERⅡによる発達テストを開始しました。気になる方は乳児検診などでご相談ください。

クル病 ビタミンD不足について

 ビタミンD不足の乳幼児が増えています。5年前に比較し3倍以上になっていると言われています。その理由として母乳栄養、日光不足があると考えられています。人口栄養にはビタミンDが添加されています。また紫外線による皮膚のダメージを避ける傾向が次第に強くなり、その結果ビタミンD不足をきたしています。
  ビタミンD不足はアレルギーの発症に関与している、とか乳幼児期のO脚の原因になる、とかの報告があります。
  母乳栄養児、体重増加の悪い乳児では貧血のチェックのほか、アルカリフォスファターゼのチェックをお勧めしています。当院ではこの検査で異常がある場合は血中ビタミンDを測定しています。その結果によりビタミンDのサプリを投与してもらっています。すでにアメリカでは一歩先に進んでいて母乳栄養児にはビタミンDのサプリが積極的に推奨されています。
  クリニックで行う6か月健診の時には遅いので、生後2か月から行う予防接種の時に相談してください。

今、はやっている病気

  咳と熱が続く場合

 インフルエンザのピークはすぎました。ヒトメタニューモウイルスの流行がはじまりました。熱と咳が続き新型コロナウイルスに症状が似ているため早めの検査が必要です。熱が長い場合には細菌性肺炎が考えられので採血を行ったり、胸部のレントゲンをとります。

  熱中心なら

 アデノウイルス、溶連菌感染症、インフルエンザが流行しています。検査なしで抗生剤を服用すると本当の原因が判らなくなります。

  吐き気あるいは下痢なら

 ノロウイルスの流行の季節になりました。下痢、嘔吐による脱水がひどく、点滴が必要になる場合があります。受診はなるべく早くお願いします。経口補水液をうまく使って点滴をさけるようにしてください。水分補給の注意の記事も参考にしてください。

新型コロナウイルス感染か心配の方は以下の対応でお願いします

 どうして心配かをきちんと考えてから、医療機関を受診せずに以下に連絡してください。
クリニックを受診して、COVID19と判明した場合そこからクリニックは2週間休診し経過をみなくてはいけません。従ってクリニックでの対応はどこでも断られると思います。
1.保健所に連絡を(90%断られると思ってください)
多摩小平保健所 042-450-3111    練馬区保健所  03-5984-4761
 病院の紹介については、保健所は教えてはいけないと国で決まっています。
2.保健所に断られたら
東京都新型コロナウイルス感染症一般相談窓口に連絡
05-70-550-571
相談するとどこか紹介してくれる可能性がありますとの対応でした。
3.上記でだめなら諦めて下さい(多摩小平保健所 カスヤ様の発言)
以上が令和2年3月9日時点での状況です。

保湿剤使用の危険性について

 当院では保湿剤でアトピー性皮膚炎の治療を行い、悪化したり、改善が見られない例があまりにも多いために、保湿剤の使用に警鐘を鳴らしていました。その理由として保湿剤によるアレルギー(ラノリン)、科学的刺激による皮膚炎などを考えていました。そして今年になり有名な医学雑誌、Lancetで「アトピー高リスク乳児の保湿剤使用に予防効果みられず」「
細菌感染のリスクが高まる可能性が高い」と発表され非常なインパクトを受けました。
 不思議なことに以下のニュースはあまりにもインパクトが強すぎたためか、あるいは日本での保湿剤の市場が大きいためのコマーシャルベースでの圧力のためか、ネット上あっという間に表にでなくなってしまいました。保湿剤に頼る皮膚治療は明らかに曲がり角にきており反省期になっているのではないでしょうか。

 アトピー高リスク乳児の保湿剤使用に予防効果みられず

アトピー性疾患の家族歴がある正期産新生児1394例を対象に、生後1年間の皮膚保湿剤使用による湿疹予防効果を無作為化比較試験で検討(BEEP試験)。保湿剤を毎日使用+標準的なスキンケアのアドバイス(保湿剤群)と標準的なスキンケアのアドバイスのみ(対象群)に1対1の割合で無作為に割り付けて比較した。
 その結果、主要評価項目に規定した2歳時の湿疹発現率は、保湿剤群23%、対照群25%だった(調整リスク 0.95、95%CI 0.78-1.16、P=0.61、調整リスク差-1.2%、95%CI -5.9-3.6)。生後1年間の1人当たりの皮膚感染症平均発生数は、保湿剤群0.23(SD 0.68)、対象0.15(同0.46)で、調整発生比は1.55(95%CI 1.15-2.09)だった。

 Daily emollient during infancy for prevention of eczema: the BEEP randomised controlled trial.(Lancet 2020)

 INTERPRETATION: We found no evidence that daily emollient during the first year of life prevents eczema in high-risk children and some evidence to suggest an increased risk of skin infections. Our study shows that families with eczema, asthma, or allergic rhinitis should not use daily emollients to try and prevent eczema in their newborn.

 ということです。

アデノウイルス感染症とは?

 ポイント

咽頭結膜熱や胃腸炎、膀胱炎などを引き起こすアデノウイルス。プール熱とも呼ばれる咽頭結膜熱は、初夏から夏に流行することから、これからの季節に留意したい感染症のーつとれています。迅速検査で適切な診断につなげ不必要な薬剤を回避し、周囲への感染を防ぐとともに親の安心を得ることが大切になります。

 ADVの主要症状は上気道炎、咽頭結膜熱、胃腸炎

アデノウイルスは主に呼吸器、結膜、腸管に感染し、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎、性膀胱炎、胃腸炎、肺炎など、さまざまな疾患の原因になります(表1)。呼吸器感染では、重症の肺炎を起こしたり、髄膜炎や脳炎などを併発したりすることもまれにあるので、軽症のみではないことを認識する必要があります。
ADVの血清型は現在、50以上あるとされ、疾患の関連性が明らかになっています。例えば、咽頭結膜熱は3、7、11、14、16、21、50型、出血性膀胱炎は11、34、35、55型
などが関与するとされています(表2)。また、ADVの血清型が同じでも、人によって現れる疾患は異なることがあり、ウイルスの体内への侵入部位が関連していると考えられています。
疾患の実際は、高熱でノドに膿がついている上気道炎型、この場合数日後に結膜炎を合併することもあります。胃腸炎型は嘔吐、下痢、白い便で検査をしてADVが検出される型で、ノドにも症状がでてノドの検査でも陽性にでることが大部分です。胃腸炎型の注意点としては腸重積の合併が多く、腸重積になった乳幼児で便の検査でADVがかなりの確率で検出された、という報告があります。したがって下痢の治療でよく処方されるロペミンは使用しません。

 プールを介した感染より集団生活、家庭内の感染が主因

ADVは感染力が強く、咳やくしやみなどの飛沫感染だけでなく、汚染された物品(タオルなど)からも簡単に感染します。咽頭結膜熱はプールを介しての感染が多くみられたことから「プーノレ熱」と呼ばれますが、プーノレ水の塩素濃度が保健所の基準値であれば予防できるので、現在では集団生活や家族内での感染が主な原因とされています。咽頭結膜熱の流行のピークは夏期ですが、ADVは1年中活動しているので、高熱が続き、咽頭の発赤、膿などの所見があるものには必ず検査をして確定診断を行います。特に特効薬はないのですが抗生剤の無駄な使用をさけ周囲への伝染を防ぐためです。
かつてADVの診断は、臨床症状で判断していました。発熱症状しか現れていない場合は血液検査など行いましたが、白血球が多かったり、少なくなったり、CRPが強かったり少なかったりするのであまり役に立ちませんでした。近年は簡単な操作で判定が容易に得られる迅速検査法が普及し、診断の補助としてその検査キットが用いられるようになっています。昨今では咽頭結膜熱などは学校感染症に指定されているので、施設側から医療機関で感染の有無を調べるよう、促されているために、子どもの目が充血していると、保護者が子どもをすぐにクリニックへ連れてきて検査を希望なさることが多くなっています。

 熱が高くてもADVと分かれば保護者の不安も軽減

クリニックで行う迅速検査は、まず目やになど眼症状があれば目やにからウイルスを検出します。目やにが出ていなければ、目を強く閉じてもらい出てきた涙を綿棒でぬぐいます。眼症状がなければ咽頭に綿棒を挿入しますが、目(結膜)の方が子どもの抵抗が少なく簡単です。咳がなくて発熱がある状態では、まずA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染の有無を検査キットで確認し、陰性が示されたらADVの検査を行います。下痢がある場合は、便によりウイルスの同定を行います。迅速検査を行う意義について、ADV感染症は対症療法が主体で感染の有無が分かることで、不必要な抗生剤を使わずに済むこと、またAD胃腸炎なら強い下痢止めによる腸重積の発症を考慮した治療を選択します。高熱が続いていると保護者の方々は非常に心配されるが、ADVならば5日間安静にしていれば必ず治ります。それを説明することで、皆安心してくれます。迅速検査は過度の不安を軽減する役割があります。いろいろな可能性を説明するより、検査の結果、ADVに感染しています、5日間安静にしてください、の二言で済む方が、理解が得やすくなっています。病気の初期に迅速検査を行うと陰性と出てしまうケースもありますが、しかし、ADVの場合、経験上では陰性が示された場合は日を改めて検査してもほぼ陰性になります。

 迅速検査が簡単に行われない理由

迅速検査は簡単に行え、結果もすぐに分かります。しかし、3歳児まで包括制(小児科外来診療料)を選択している医療機関では、検査を実施しないところが少なくありません。検査をすることで、その費用が医療機関の持ち出しになるからです。また検査を専門に扱う人員が確保されているかどうかも、検査の実施に影響を及ぼします。検査担当の職員がいなければ、看護師などが他の業務と兼務することになり対応が難しくなります。原則としてはかかりつけのクリニックでの行うべき検査なので親御さんはこの点を留意してください。

 最近のトピックスより

パナソニック エコシステムズは食塩水を電気分解して得られる「次亜塩素酸水溶液」から揮発した有効塩素成分が、咽頭結膜熱の原因「アデノウイルス」を99%以上抑制することを確認した。約25平方メートル(約6畳)の空間でテーブルや手すりに付着した同ウイルスに対し、短時間で効果がみられた。食品業界や医療・介護施設では次亜塩素酸を用いた洗浄、除菌、脱臭などの作業が日常的に行われており、そうした室内環境においてアデノウイルスの抑制が期待される。
アデノウイルスに対する有効塩素成分の効果をみるため、回転式除菌フィルターに約10ミリグラム/リットルの次亜塩素酸水溶液を含浸、一定の風をフィルターに当てて有効塩素成分を揮発させた。アデノウイルスを付着させた試料に、有効塩素成分を暴露させる、させない(自然減衰)場合で検証試験を行った。暴露させたものは60分でアデノウイルスを99%以上抑制していたことが分かった。  

ヒトメタニューモウイルス感染症について

 RSウイルス様の咳、呼吸困難、熱が続き、肺炎が疑われるが、レントゲンで異常なく、マイコプラズマでもない病気がはやっています。これはヒトメタニューモウイルス感染症ではないかといわれています。白血球はさほど増加しないのに、血沈、CRPなどの炎症反応が強いのが特徴です。
ヒトメタニューモウイルスはサーズで注目されてから知られるようになってきたウイルスでRSウイルスとよく似たウイルスといわれています。ヒトメタニューモウイルスは1から5歳が最も多く、RSウイルスの初感染よりもおそく、後発季節は3月から6月で丁度今頃流行ります。 特に保育園での流行のほか幼稚園での大規模な流行が特徴です。
迅速検査キットが利用できるようになり、インフルエンザ、RSウイルスでもなく、マイコプラズマでもない咳中心の風邪の場合この病気を疑い検査します。鼻からとった検体をうまく利用し1回の検査でインフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニュウモウイルスの検査ができ、子どもの痛い思いを軽減することができるので、この時期の咳のかぜには是非おすすめします。この検査で陽性になってきちんとした病名がつくと、家族はとても安心して治療に集中できます。治療は咳に対する対症療法が中心になり、中耳炎の合併に注意が必要です。
医療機関の一部にはヒトメタニューモウイルスの診断をしても特効薬はないので診断しても無駄ということで検査をしないところもあります。しかし子どもの喘息の90%以上が、RSウイルス、ヒトニューモウイルスが原因で肺の損傷を生じることによるといわれています。従ってこの疾患の急性期にきちんとした肺の損傷を防ぐ治療をすることにより、長期にわたり喘息として治療を継続することを防ぐことができます。アレルギーを検査してもなく、小学校に入るころには治癒する喘息はこのタイプなのです。子どもを診療していく上で大事なことはかかった病気をその都度できるだけ正確に把握しておくことにより無駄な投薬をできるだけ避けることや、次に起きる発熱などの際に迅速にかつ正確に診断できる診療ではないでしょうか。